ほのかに甘く、苦い香りのするスパイスです。ナツメグはインドネシアのモルッカ諸島(バンダ諸島)原産で、ナツメグは種子の中にある仁の部分ですが、種子のまわりについている皮がメースというスパイスで、1本の木から2つのスパイスが取れるというお得な植物です。ただ実際には雌雄、別々の木で受粉させなければ実ができないため最低2本必要で、しかも実をつけるために8年から9年、さらに20メートルほど伸びたところにできるという難易度最大級の代物です。環境は10度を下回ったらできないので、日本では沖縄以外ほぼ無理でしょう。
肉料理の臭み消しには欠かせないスパイスとなっていて、甘い香りはお菓子の風味づけにも利用されヨーロッパでは昔から人気のスパイスです。世界四大スパイスの一つに数えられています。(他は、ペッパー、クローブ、シナモンです。)
さらに言うと、人気があった故に血塗られた歴史を持つスパイスにもなっています。なぜ人気があったのかを調べていくと、ナツメグに含まれる「ミリスチン」「エレミシン」という成分に由来されていることがわかりました。この成分は向精神薬の役割をはたし、幻覚症状に誘います。それが教会と結びつき、薬として利用され、中世前にインド洋から運ばれたナツメグは流通量がわずかだったこともあって、富裕層の間で非常に貴重なものとして崇められたのでしょう。
インド洋周辺の商人たちは、ナツメグの出所を明かさないまま、商いをつづけ大儲けしていました。その出所はスパイス諸島と呼ばれ、その諸島を探すべくポルトガル人のマゼランはスペイン王をスポンサーに付け、航海に出ました。マゼランは島に着く前に死んでしましましたが、一団はスパイス諸島であるモルッカ諸島を見つけ、そこで大量のナツメグ、メース、クロ―ブを積んでスペインへ戻ります。しかし5隻の艦隊で200人いた一団は、1隻のみの18人になっていたそうですが。
そこからポルトガルのモルッカ諸島の占領が始まります。ですがポルトガルは原住人との取引に失敗し追い出されてしまいます。その後で来たのがオランダ・イギリスで、イギリスはオランダに負け、小さな島を占領するにとどまりました。大部分を占領したオランダは原住人と争いになり、当時15000人といたといわれている原住人を1000人残してすべて虐殺し、残った1000人は栽培用の奴隷とする所業をやりました。それによりオランダは150年の間、ほぼほぼナツメグを独占することになったのでした。その独占が破られたのは、イギリスが占領した小さな島から苗を取り、別の場所で栽培することに成功し、値崩れが起きたからでした。19世紀ごろなので大体200年前そこまで昔ではないですね。
なんとも気軽に調べていたら重い話がでてきたので、戸惑いましたが、要約すると
→ナツメグはいろいろあって使えるけど摂りすぎ(5g以上)は注意!
生の状態のナツメグ・メースはなんとも悪魔ちっくな感じでとてもゾクゾクさせられます。しかも毒(薬?)入りですから。。。人間と植物の関係って不思議ですね~
