食べログで3.93をたたき出している、日本が誇る屈指の名店 「欧風カレー&シチュー専門店 トマト」へ来訪した際の記録を開陳したいと思います。来訪したのは2019年の4月、春の訪れを感じるのどかな時期でした。開店30分ほど前に行って、開店と同時に食べられるとタカをくくっていたのが甘かったです。店の前につくとそこにはすでに行列が…。最後尾に並ぶと先はだいぶ長い、これはやばいかなと思っていた矢先、お店の方(おばさま)が注文を取りに声を掛けてきてくださいました。おもむろに数をかぞえる仕草で、自分の後ろに並んだ方に「今日はこれで終了です」と終了宣告をしておりました。うーあぶなかった。。。内心冷や冷やでした。。。

おばさまに注文を終え、待つこと2時間、隣が高校のため青春真っただ中の生徒たちが嬌声を発して往来していきますが、真昼間から何をやっているんだろうという大人の倫理観をつぶやく心の声を無視して、仏のごとく待ちました。そして昼の閉店時間ぎりぎりに無事入店許可。ドキドキです。

店内はこじんまりとしていて、大勢が入る余裕はありませんでした。まず目に入ったのが、スパイス瓶の壁、それぞれに小さく名前が書いてあります。そしてお店の壁に飾られているトマトのポリシーが目に留まりました。せっかくなんで全文書き出します。

「欧風カレーとシチューの専門店 トマト にご来店いただきまして誠にありがとうございます。シチューはたっぷり野菜と肉を煮込んでは漉しという作業を繰り返してそれぞれの素材の持ち味がファンドボー、ブーケガルニ、ワインと共に混然と溶け合ったソースをベースに厳選した牛肉や四季折々の野菜を加えた煮込み料理です。

カレーは香味野菜、フォンドボー、グラストビアンをたっぷりと使った旨みを生かしたこくのあるソースに薬効のある34種類のホールスパイスを含む36種類のスパイスをブレンドしてじっくりと一週間以上かけて丹念に仕上げました。」

 その文面からでも美味しさを超えた何かがひしひしと伝わってくる感じがします。落ち着いたシックなたたずまい、そして店内に漂う得も言われぬような複合的スパイスの香り、カレーを作るのに一週間以上かける店主の人柄がにじみ出ております。

そしてついに!やってきたのは「チキンカレー」!

私、カレーの入門はチキンと決めており、シーフードやビーフも惹かれたのですが、ここは原点的な意味を考慮して、チキンに挑んでみました。大きなチキン(ドラム)がなんとも王者の風格です。

先ほどのポリシーにもありましたが、36種類のスパイス、フォンドボーと旨みと香りのオンパレードです。計算されつくした食材の旨みを引き出す技術と高め合う技術が混然一体となって舌の上に踊りだします。

至福のときは一瞬で過ぎてします。2時間待ったのは何だったのか、そう、この一瞬のためにあったのです。学生たちに何だろうと伺われ、若干の後ろめたさを感じながらも、この一瞬のためにすべては昇華されました。36種類のスパイスはなんだろうというのと、グラストビアンってなんだろうと思いながら、おいしい余韻を口に残して、閉店間近の店を後にしました。

※36種類のスパイス ホールとパウダーを別個で考えればそれぐらいの数はあるかな?

※グラストビアンは濃縮した牛煮出汁(フォンドボー)のことだそうです。

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